ウォシュレットのリモコンにある「おしり」と「ビデ」。
何が違うのか、自分はどちらを使えばいいのか、
人に聞きにくくて調べている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、2つは洗う場所が違い、それに合わせて
水の勢いと広がり方も変えて設計されています。
この記事では、住宅設備メーカーで水まわり商品の開発に携わっていた立場から、
2つの機能の違い、ノズルの仕組み、使うときの調整方法まで解説します。
※「ウォシュレット」はTOTO株式会社、「シャワートイレ」は株式会社LIXILの登録商標です。本記事では便宜上、温水洗浄便座全般を「ウォシュレット」と表記しています。
結論:洗う場所と水の出方が違う
リモコンの「おしり」ボタンは、肛門まわりを洗う「おしり洗浄」の機能です。汚れを落とすために、水を一点に集めて勢いよく当てます。
一方の「ビデ」ボタンは、女性の外陰部を洗う「ビデ洗浄」の機能です。デリケートな部分にあたるため、水の勢いを抑え、やわらかく広がるように設計されています。
| おしり洗浄 | ビデ洗浄 | |
|---|---|---|
| 洗う場所 | 肛門 | 外陰部 |
| 水の勢い | 強い | 弱い |
| 水の広がり方 | 狭め | 広め |
| 主に使う人 | 男女両方 | 女性 |
どちらもノズルから水を出していますが、水の出口と出し方を切り替えることで、この違いを作っています。具体的な仕組みは後の章で説明します。
洗う場所と目的はどう違うのか
おしり洗浄は肛門まわりに付着した汚れを洗い流す機能です。
便意を促すために使ったり、排便しながら使ったりする方もまれにいますが、想定された使い方ではありません。
ビデ洗浄は生理時など局部周辺に付着した汚れを洗い流す機能です。
生理時のほか、おりものが気になるとき、産後など、
紙で拭くだけでは落としにくい汚れを水で洗い流すことができます。
水の出方はどう違うのか

おしり洗浄とビデ洗浄は、リモコンのボタンが分かれているだけでなく、
水の出る場所そのものが分かれています。
TOTOの機種では、1本のノズルに複数の吐水口(水の出口)が設けられています。
LIXILの機種では、2本のノズルがあり、おしり用とビデ用でノズル自体が分かれています。
どちらの方式でも、押したボタンによって水を送る経路が切り替わり、それぞれの洗浄に適した位置と角度で水が出る仕組みになっています。
水の出し方にどんな違いがあるか具体的に見ていきましょう。
水が出る位置と角度が変わる
おしり洗浄とビデ洗浄では、水を当てたい位置が前後にずれています。このずれを、吐水口の位置や吐水角度で合わせています。
1本のノズルで両方をまかなう機種では、ボタンによってノズルの中で吐水口が切り替わり、
水の出る角度も変えられています。
おしり用とビデ用でノズルが2本に分かれている機種では、
押したボタンに応じて異なるノズルが出てきます。
それぞれでノズルが出る長さや角度が違っています。
水の広がり方が変わる
もうひとつの違いが、吐水の形状です。
おしり洗浄では、汚れを落とすために水を一点に集める必要があります。
そのため吐水口は絞られた形状で、水流がまとまって飛ぶようになっています。
一方ビデ洗浄では、広め範囲をやさしく洗うことが目的です。
吐水口の形状や数を変えることで、水が広い範囲にあたり、
勢いを抑えた水流になるよう設計されています。
同じ水圧でも、出口の形状を変えれば水の当たり方は大きく変わります。
「ビデの方が水が弱い」と感じるのは、単に水の量を減らしているだけではなく、
水の広げ方そのものを変えているからです。
※ 吐水口の数や切り替えの方式は機種によって異なります。
お使いの機種の詳細は、取扱説明書をご確認ください。
ビデは誰が、どんなときに使うのか
ビデ洗浄は男性にはあまり縁がない機能ですし、ある調査では女性でも約4割が使ったことがないとされています。
ビデ洗浄が何なのか、誰がどんなときに使うのか分からない方も多いと思いますので、説明していきます。
ビデ洗浄を使う場面
ビデ洗浄は、女性の使用を想定し、「生理時など外陰部まわりに付着した
汚れを洗い流す機能」です。
生理時のほか、おりものが気になるとき、産後など、
紙で拭くだけでは落としにくい汚れを水で洗い流すことができます。
10~20秒ほどビデ洗浄したあと、トイレットペーパーでやさしく拭き取ります。
紙で拭くだけの場合より汚れを落としやすく、強くこすらずに済むぶん肌への負担も抑えられます。
※ 洗浄の名称や使い方は機種によって異なることがあります。
お使いの機種の取扱説明書をご確認ください。
ビデ洗浄は使わなくてもよいのか
男性が積極的に使う必要はない
ビデ洗浄は女性の使用を想定した機能なので、男性が使用してもおしりとは違う位置に水が当たるだけです。
押しても故障することはありませんが、男性が積極的に使う理由はありません。
女性も使わなくても問題はない
ビデ洗浄は、現在販売されているウォシュレットのほとんどに
標準で搭載されています。
しかし使う人もいれば、まったく使わない人もいます。
使わなくても特に問題はないので、
自分に必要かどうかで判断すれば十分です。
おしり・ビデ洗浄を使うときに知っておくとよいこと
おしり洗浄やビデ洗浄を使うときに知っておくとよいことを紹介します。
便座に座る位置
ウォシュレットの便座には正しい座り方があります。
浅く腰掛けるのではなく、深くしっかりと座るのが正しい座り方です。
あくまでも目安ですが、座ったときに便座の穴の後方におしりが軽く触れるくらいの位置に座るといいです。
この位置に座ったときにおしり洗浄が良い位置に当たるように作られているので、快適におしり洗浄できるようになります。
ウォシュレットは、この位置に座ることを前提に設計されています。正しく座ると洗浄の位置が合うほか、次のような効果も期待できます。
・便座への座り心地が良くなる
・排泄時の水はねが抑えられる
水勢・位置・温度の調整
多くの機種では、おしり洗浄もビデ洗浄も水の勢い・当たる位置・水の温度の調整ができます。
「水が強すぎる」「位置が合わない」と感じたまま使っている方は多いのですが、
たいていはリモコンの設定で解決します。
水の強さの調整
水の強さはリモコンの[強][弱]、または[+][-]のボタンで調整します。
調整した強さは記憶される機種が多く、次に使うときも同じ強さで出ます。
家族で強さの好みが違う場合は、使うたびに合わせることになります。
強くするほど良いというものではありませんので、
弱めから試して、ちょうどよいところで止めるのがおすすめです。
洗浄位置の調整
水が当たる位置が前後にずれていると感じるときは、
リモコンの[位置]ボタンでノズルの停止位置を前後に動かせます。
ただし位置がずれる原因は、設定ではなく座り方にあることもあります。
便座に浅く腰かけていると、狙った位置に水が当たりません。
設定を動かす前に、深く座ってみて変わるかどうかを確かめてみてください。
温水の温度の調整
温水の温度もリモコンの[温度]ボタンなどで調整できます。
なお、節電のために温度を下げる、あるいは温水機能そのものを
一時的に切る設定を持つ機種もあります。
水の出方のモード変更
機種によっては、洗浄の水の出方のモードを切り替えられるものがあります。
たとえば、おしり洗浄の水の強さがやさしい仕様の「やわらか」、
おしり洗浄の水の強さに強弱をつける「マッサージ」、
おしり・ビデ洗浄の洗浄位置が前後に往復する「ムーブ」、などです。
より好みに合った洗浄をしたい場合は、これらの機能も試してみてください。
※ 名称、機能の有無、機能の仕様、設定方法はメーカーや機種によって異なります。
詳しくはお使いの機種の取扱説明書をご確認ください。
使い方に関する注意
おしり洗浄やビデ洗浄を使うときは、長時間の洗浄や洗いすぎは避けるようにしてください。
洗浄時間は10~20秒が目安です。
また、局部の外側を洗うにとどめて、局部の内側は洗わないようにしてください。
おしり・ビデ洗浄の歴史
おしり洗浄とビデ洗浄はどのようにして生まれた機能なのでしょうか。それぞれ説明していきます。
おしり洗浄の歴史
もとはアメリカで、医療・福祉向けの装置として開発されたものでした。
紙で拭くことが難しい方のための洗浄装置で、当初は
一般家庭で使うことは想定されていなかったといわれています。
これを日本の住宅向けに広めようとしたのが、東洋陶器(現在のTOTO)と伊奈製陶(現在のLIXIL)です。
当初はなかなか普及には至りませんでしたが、1980年に発売されたTOTOの「ウォシュレット」を転機に「おしりを洗う」という習慣が家庭に広がっていきました。
ビデ洗浄の歴史
もともとビデは、便器とは別に置かれた洗浄専用の器具を指していました。
ヨーロッパでは今も、トイレの横にビデが独立して設置されている住宅があります。
日本ではこの独立した器具はほとんど普及せず、
温水洗浄便座に「ビデ洗浄」という機能として組み込まれる形で広まりました。
そのため日本で「ビデ」と言えば、器具ではなく洗浄機能のひとつを指すのが一般的です。
おしりとビデの歴史の違い
つまり、おしり洗浄とビデ洗浄は出自がまったく異なります。
おしり洗浄は肛門まわりの洗浄が目的で、アメリカの医療用装置から生まれ日本で家庭向けに作り直されたもの。
ビデ洗浄は外陰部の洗浄が目的で、ヨーロッパの独立した器具が日本で便座の機能として取り込まれたもの。
別々の場所で生まれた2つの洗浄が、
日本の温水洗浄便座という1つの製品の中で組み合わさった、という形です。
よくある質問
Q. 子どもが使っても大丈夫?
A. 水勢を弱めに設定し、長時間使わないようにしてください。
便座に深く座れない年齢では、水が狙った位置に当たりません。
Q. ビデ洗浄が付いていない機種もある?
A. 現在の一般的なモデルでは、おしり洗浄が付いていてビデ洗浄が付いていない機種はほぼ存在しません。おしり洗浄とビデ洗浄のどちらもついていない「暖房便座」という種類のトイレは各メーカーから販売されています。
Q. 男性が間違えてビデを押してしまったらどうすればいい?
A. 故障はしませんし、体に悪影響もありません。リモコンの「止」ボタンを押して停止してください。
Q. ビデ洗浄を使ったあと、ノズルは洗浄される?
A. 多くの機種では、洗浄の前後にノズルを自動で洗う機能が働きます。
使用後にしばらく水が出るのはこの動作によるもので、故障ではありません。
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まとめ
ウォシュレットの「おしり」と「ビデ」の違いについて、ポイントをまとめます。
・おしり洗浄は肛門まわりを、ビデ洗浄は女性の外陰部を洗う機能です。
・洗う場所が違うため、水の勢いと広がり方も変えて設計されています。
おしり洗浄は水を一点に集めて強く、ビデ洗浄は広くやわらかく当たります。
・水が当たる位置は、ノズルの出る長さや吐水口の切り替えで調整されています。
・ビデ洗浄は生理時や産後など、紙で拭くだけでは落としにくい汚れを
洗い流すための機能です。使わなくても問題はありません。
・水の勢い、当たる位置、温度はリモコンで調整できます。
位置が合わないときは、まず深く座り直してみてください。
・洗浄時間は10〜20秒が目安です。長時間の洗浄や洗いすぎは避けてください。


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